告白する。私はひそかな幸福の科学映画のファンです。
あのトンデモびっくりな世界を堂々とドラマにして、観客へ訴えかける。そのストレートな作劇には毎回、楽しませてくれて好きである。
そんな幸福の科学映画でも活躍された宏洋さんの自伝ともいうべき著書。
生まれたときから教祖の長男として期待がもたれるものの、それに反抗し、今や教団との関わりを一切切っている彼。
子供の時からどう教団、父母、そして兄弟に接し、見てきたか、そして千眼美子さんとの結婚騒動のこと等など、すべてが興味深く、考えさせられる内容でとても充実した読後感を味わえた一冊であった。
詳しく書くとネタバレになるので書かないが、強大な組織の教祖ともなれば逆に世俗の欲まみれになってしまうのがオチ。これは宗教団体に限らず、政治家もまた同じであり、また大きな会社社長なども同じような境遇に陥ってしまうことが多いのではないだろうか…
教祖=神と名乗っていても、しょせんは人間であること。神を隠れ蓑にしても、人間らしさを出さなければ本当の神の代理人にはなれないのではないか?そんなことを読みながら考えてしまった。
私としては宗教を信じられる方、信仰心の強い方は羨ましい限りである。
以前、もう仕事もプライベートもすべてがうまくいかずにどうしようもない時、宗教を信じれば少しでも休まるのではないか、と思って知人が信仰している新興宗教や近くの教会に行ってみたりしたけれど、結局は宗教を信じる余裕がないと判断。現実的な行動を起こしたほうがプラスになると分かった。私は宗教や神秘的なことを研究するなど、学問としてみるのはとても好きだが、信仰には無縁だと明確に感じた。
しかし、どんな宗教も否定はしないし、それによって人生に輝きを持てるのはすごく良いことだと思う。
話がそれたが、本書は宗教家の下で生まれ育った一人の男性の話として抜群に面白さをもっている内容であった。

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